●瓜実条虫


今回の内容は生理的に受け入れることができない方もいらっしゃると思うので、もし、自分がそれに該当するならばご覧にならないことをお奨めします。
しかしながら、

        生き物を飼うってことは、その生き物の持つ全てを受け入れる覚悟が必要である

と言う、信念の下、今回の内容を敢えて記載します。
確かに、このような事実があったことをサラリと書き記すだけでもいいことなのかも知れませんが、ネコを飼っている、あるいはこれからネコ(に限らず生き物)を飼おうとしている方々には是非とも目をそむけないで欲しい問題です。

ここのところさすけはスキャナの上で寝ることが多いので、私たちはスキャナの上にタオルを敷いてあげています。
ある日、そのタオルに米のような植物の種のようなものがびっしりとついていました。
さすけは完全室内飼育なので外で何かをつけてくることも考えられないし、ネコ草の種でも食べたのか、とタカをくくっていました。

その物体が何なのか?
ペンチでつぶしてみたりしたのですが、中身も乾燥しており、生物の卵とも思えませんでした。(実はそれが・・・)

その後、その物体の発生源が判明しました。
なんと、さすけのお尻や尻尾に同様の物体が付着しているではないですが!
それも1個、2個じゃないの!
速攻でさすけの行動範囲をチェックしました。
ソファー、PCチェアー、私のキューブPCの上、座布団・・・etc.
で、ソファーと座布団にも同様の物体を発見しました。

ネットでネコの寄生虫で検索したところ・・・出ました出ました、ドン・ピシャなのが。
それは「瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)」というサナダムシの一種でした。


赤い囲みの中に世に出て間もない瓜実条虫が・・・
この瓜実条虫、あなどれないヤツです。
この虫はネコの体内(腸内)で栄養をもらって生きています。特に内臓を食い荒らすようなことはせず、ただそこに佇み養分をピンハネする消極的なヤツです。
しかし、その繁殖方法には感心するものがあります。

・鎖状になった本体の一部を「分身」のように分離し
  肛門から排出する。
・肛門周囲の体毛のなかに埋もれる。
・乾燥してくると米粒のような状態になる。
 このなかには幼虫が格納されている。
・ネコが動くことにより乾燥して米粒となった分身は
 あたりに撒き散らされる。


体内での消極的な生き方に反してその繁殖方法はなかなか見事です。
何が見事って、ここからです。

 ・周囲に撒き散らされた米粒状の分身がつぶされると内部に格納された幼虫が飛び出す。
 ・それをノミが食うことでノミの体内に寄生する。
 ・ノミがネコにつく。
 ・ネコが毛繕いの際、誤ってノミまで食べてしまう。
 ・大当たり〜〜! 見事に瓜実条虫の目的は達成されました!

私は目撃しましたよ、さすけの肛門から顔をのぞかせているウリの姿を・・・
私はウリが出てくるのを静観し、出たところですかさずティッシュペーパーで掴んで撮ったのが上の写真です。
少々ピンぼけですが、生まれたばかりの幼いウリです。
この時点ではウリは動いています。長さ1cm程度のまさにウジ虫のようなヤツです。
試しに、これをそのまま放置して観察していたら・・・なんと、確かに30分程度で米粒のようになりました。
(乾燥するにしたがい、この長細い体が縮みながら米粒状になっていくようです)
この状態で何年も生きつづけ、ひたすら繁殖の機会をうかがっているんだそうです。
やはり、消極的な生き方です。
そういえば、かつて流行った「シーモンキー」も乾燥した卵の状態で何年も生きるんだったなぁ・・・
シーモンキーはペットだったけど、こいつは・・・ねぇ。

ちなみに私は愚かにもその物体をつぶしてみたり、つぶしたものを手の上で眺めてみたりしていたのです!
なんということでしょう!

コイツがいることでさすけが重大な病気になることはありません。(体内では消極的ですから)
しかし、飼い主に与える生理的な嫌悪感は絶大です。
このウリが1粒、2粒ころがっていたとしても、気づかずに掃除機で吸い取ってしまうでしょうし、もし、気づいても寄生虫の卵とは思わないですよ。
単なる生活ゴミの1つとしてしか認識できませんもん。
それから数日間は私たちはかなり神経質な日々を送ったことは言うまでもありません。
さすけも何かにつけて私たちに肛門を凝視されるのでかなり迷惑そうな顔をしていました。

なお、この瓜実条虫、発見したらすぐに獣医さんに行ってください。
有効な虫下し薬を処方してくれます。
いまではさすけからウリが顔を出すことも、その「物体」が撒き散らされることもなくなりました。
ちなみに、これに効く虫下し薬はペットショップでは販売されていません。
その後、フロントラインなどのノミ駆除を実施して部屋も大掃除して今はなんとか一件落着です。

とにかく、
 ・見つけたらすぐに駆除
 ・ノミ対策は万全にしておく
ことでかなり予防できます。

なお、完全室内飼いでもノミ対策はしてください。
あなたのペットは外出しませんが、飼い主である私たちは外出しているのです。私たち人間が室内飼いの動物のノミの媒介になることもあるのですから。


【余談】

後日、私は自分の不注意から「ものもらい」になってしまいました。
そのとき、ウリが私の目に寄生してしまったのでは・・・?とマジで心配になりました。
昨年末、これも私の不注意ですが、さすけに眼球をネコパンチされ、しばらく通院していたことがあったのですが、ここまで続くと大概のことにはビビらなくなってきました。
ネコを飼うことって、「癒し」だけでなく精神的にも強くなりますね。


[ 日々是好日 ]